親知らずを抜歯した数日後に傷口に白っぽい塊が詰まっているのが気になり、歯医者に相談に行ったところ『大丈夫ですよ。自然に治りますので、そのままにしておいてくださいね』と言われました。
歯医者さんが言うには、それは血餅というものらしく要するに傷口をふさぐ「かさぶた」の役割をしているそうなのです。
当然かさぶたを剥がすと傷が治りにくくなるので、歯医者さんは取ってくれなかったという訳です。
そんな「かさぶた」の役割を担ってくれる血餅とは、いったいどんなものなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
1. 血餅ってなに?
簡単にいうと血餅というのは、抜歯後の傷口にできる血のかたまりのことをいいます。抜歯した傷口に血のかたまりができることによって「かさぶた」の役割を担い、傷口が治癒するまでの間、歯茎を保護してくれる大切なものなのです。
○血餅はいつ治るの?
親知らずを抜歯した当日に傷口に赤黒い血のかたまり、つまり血餅ができます。その後、3~5日程度で白っぽい半透明な物質に変化して、7~10日間程度で自然になくなっていきます。
それまでの間はたとえ気になっても、大切な「かさぶた」の役割を果たしている血餅をはがさないように注意しましょう!
2. 血餅が取れてしまったらどうなるの?
そんな大事な役割を担っている血餅ですが、取れてしまったら骨がむき出しになってしまい、「ドライソケット」になってしまう可能性があります。
血餅は通常は7~10日間程度で「かさぶた」の役割を終えて、自然になくなっていきます。ただ、血餅が剥がれてしまい「ドライソケット」になってしまった場合、激しい痛みが伴い、2週間~1ヶ月程度は痛みが続いてしまいますので注意が必要です。
ただし、血餅が取れてしまっても痛みがない場合は「ドライソケット」ではありませんので、ご安心ください。
3. ドライソケットとは
そんなに激しい痛みが伴うなら、「ドライソケット」にならないようにしたいですよね。そこで、そんな「ドライソケット」について、簡単におさらいしておきたいと思います。
ドライソケットとは、抜歯後の傷に血餅(血液がゼリー状になったもの)がみられないために歯槽骨が露出し、傷に強い痛みがあることをいう。 抜歯の偶発症で、下顎の埋伏智歯の抜歯後のものが多い。 通常の場合、抜歯後に麻酔が切れれば痛みがあるが、その後は次第に痛みが弱くなっていく。
引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
このように「ドライソケット」とは、抜歯後に傷口が血餅で覆われずに骨がむき出しになった状態のことをいいます。とくに下あごの親知らずの抜歯では、約20%の確率で起こるといわれています。
通常は抜歯した翌日には血餅が形成され、3~5日ぐらいで歯槽骨が血餅で保護されながら、少しずつ歯肉で覆われていき、1週間もすれば自然に血餅が取れていきます。
「ドライソケット」にならないために気をつけなければならないのは、この3~5日間ぐらいが最も重要で、1週間を乗り切れば「ドライソケット」になる確率はかなり低くなります。
通常は親知らずの抜歯後48時間ぐらいが痛みのピークで、その後は徐々に和らいできますが、抜歯後3~4日経っても痛みが引かず、むしろどんどん痛みが増している場合には「ドライソケット」の疑いがあります。
このように血餅が取れてしまうことによって「ドライソケット」になってしまい、激しい痛みが2週間以上も続くことになってしまうため、注意が必要でしょう。
ドライソケットについて分かりやすい動画がありますので、紹介しておきます。10分程度で模型をつかって分かりやすく説明してくれるのでオススメですよ。
4. 血餅が取れないようにするためには?
抜歯後にできる血餅ですが、とても大切な役割を果たしてくれているので、取れてしまわないようにしたいですよね。そこで以下に気をつけるべき行動を何点か挙げてみましたので参考にしてみてください。
【気をつけたい行動】
○ 飲酒、喫煙
○ 頻繁に口をゆすぐ、ぶくぶくと強めのうがい
○ 舌や指で触れる
○ 麺などをすする、飲み物をストローで飲む
抜歯してから血餅が自然になくなる7~10日間程度は、このような行動を控えましょう。どうしても抜歯直後は血の味が気になったりして、頻繁に口をゆすいだりしてしまうことがありますが、血餅ができなかったり洗い流されてしまう可能性がありますので、できるだけ口をゆすがないようにして、血を吐き出すだけにとどめましょう。
5. 最後に
筆者も親知らずを抜歯した数日後に傷口に白いものができていることに気付き、最初は「食べカスかな?」と思って少し気になっていたものです。
結局、歯医者さんに相談に行ったことでそれが「血餅」だと分かったのですが、もし相談に行っていなかったら気になって自ら「血餅」を取ってしまい、「ドライソケット」になってしまっていた可能性もあります。
皆さんもそうならないように、少しでも気になったときは自分で何とかしようとせずに、歯医者さんに診てもらいましょう!
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