歯科口腔外科dental surgery
口腔領域のトラブルに対して、外科的な治療を行います。歯や歯肉にできた病気だけでなく、舌、頬粘膜、口蓋(上顎)、口唇、唾液腺、顎骨や顎関節といった口まわり全般を治療します。
親知らず抜歯
「奥歯が痛い」「口を開ける時に奥歯が擦れる」「歯ならびが悪くなってきた」などの症状が出ます。親知らずの生え方や状態によって症状の原因や状態も異なります。こうした親知らずによって起こされる症状を智歯周囲炎といいます。
重症化すると顔が腫れたり、強い痛みがでるので気になる症状があれば、お気軽にご相談下さい。
顎関節症
「あごが痛い」「あごが鳴る」「口が開けづらい」といった症状が続きます。重症化すると目まいや耳鳴り、頭痛などの症状も見られるようになります。原因が関節であったり、かみ合わせの悪さであったりするため、思い当たる症状がある場合は歯科医院で診断してもらう事をお勧めします。
舌小帯短縮症
舌小帯短縮症は治療するべきか?
生まれつき舌の短い方がいます。あまりに短い場合は舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)と言い、症状がひどいと手術をした方がよいと勧められることもあります。
子供の舌についての相談
「舌小帯短縮症でサ行が発音できません。手術を受けると治りますか?」
(30代・女性)
生まれてすぐの健診で舌小帯短縮症と診断されました。言葉を話すようになった時に、発音に影響がないか様子を見るように言われたのですが、3才になった今、どうしてもサ行が言えません。以前、小児科医や歯科医師の先生に、発音に影響が出るようなら舌の裏の筋を切開する手術をした方がよいと言われましたが、やはり口腔外科できちんと診てもらった方がよいのでしょうか。また、手術したらよくなるものなのでしょうか。
症状の程度によっては手術をお勧めします。
舌小帯短縮症の症状は軽いものから重いものまで様々です。舌小帯短縮症は軽度・中等度・重度と分類されていて、軽度であれば舌を自由に動かすことができ、ラ行の発音で気になる程度では日常生活に支障はありません。
中等度になると、唇を舌で舐めたり上あごに舌をつけることができません。また、ラ行が上手く発音できず早口も難しいでしょう。重度になると、舌を前に出すことすらできません。
(当院Dr)
軽症でものを飲み込むことができれば、発音の訓練程度で改善される可能性が高いです。診断されたお医者様はお子様が発音に支障をきたしているので、舌小帯のひだをとる手術を勧められたのだと思います。
当院でも、発音が上手くできず舌を自由に動かせないという場合は、手術を勧めています。
手術後は、舌の筋肉を動かす訓練をします
手術では舌の運動範囲が広くなりますが、発音がすぐに改善されるわけではありません。例えば、サ行の発音ができなかったのであれば、発音に必要な舌の筋肉の動かし方を繰り返します。訓練は1カ月に1~2回、の頻度で、3カ月程度が一般的です。
本当に良くなるのかわからない中での訓練は、患者様も不安を感じることでしょう。
また、症状の程度によっては機能性構音障害も考えられるので、言語聴覚士による指導・リハビリをお勧めする場合もありますその場合は専門の医院をご紹介します。
一言に舌小帯短縮症といっても様々な症状があり、程度によって治療方法が変わってくるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。
扁平苔癬
扁平苔癬は治療するべきか?
扁平苔癬は口の中にできる炎症で、頬の内側の粘膜、歯肉、上顎、口唇、舌などにできます。見た目はレース状の白い病変で、その周辺が赤みを帯びているのが特徴です。
最もできやすいのは頬の粘膜で、頬の両側もしくは片側にできます。
歯磨きができないくらいの痛みについての相談
(40代・男性)
以前から歯ブラシが当たると痛い箇所があり、歯磨きが億劫です。
ただ、痛む時もあればそうでない時もがあったので、最初はただの口内炎かと思っていました。
でも、先日洗面台の鏡で見たら口の内側の粘膜が白っぽく網目のような模様になっていて、口内炎ではないような気もしてきました。
以前、扁平苔癬になったという知人から、
「それ扁平苔癬じゃない?病院へ行ってみたら?」と勧められましたが、痛みがなくなれば平気なので、このまま様子見をしてもいいでしょうか?
一度口腔外科を受診されることをお勧めします。
くわしくは診察が必要ですが、今回ご相談の内容から扁平苔癬の可能性はあります。
お口の粘膜にできることの多い扁平苔癬は、患者様も気づく機会が多い一方、実は原因や発症メカニズムがいまだによくわかっていない病気の一つです。
ストレスやお口の中の汚れ、喫煙、虫歯治療で使われる金属製の詰め物や入れ歯の金属アレルギー等々、いろいろな要因との関連が考えられています。
炎症が悪化すると、びらんや潰瘍になることもあり、痛みで食事が進まなかったり、歯磨きができなかったりと日常生活にも支障が表れます。
また統計学的には稀ですが、約1%の確率でがん化することもあるので、注意したい疾患です。
(当院Dr)
扁平苔癬の厄介なところは、完治が難しく、治療期間が長期化することが多いことです。
さらには、一度完治しても再発することがあるので、患者様にとっては長いおつきあいが必要となります。
完治後も定期的に歯科検診を受け、お口の状態を把握しておくことで再発してもすぐに対処できます。
扁平苔癬になると、痛みで歯磨きがままならなくなる結果、口内に汚れがたまってしまい、ますます症状を悪化させてしまうこともあります。
毎日の歯磨きの徹底と共に、歯科クリニックでおこなっているデンタルクリーニングで歯垢や汚れの除去をしてもらうなど、常にお口を清潔にしていくことが大切です。
また、お口の中の入れ歯やむし歯の詰め物などの金属を取り換えることで、症状が改善される患者様もいます。
扁平苔癬は、完治が難しいことや他の病気との併発の可能性もあるため、様子見はしない方がいいでしょう。
もしお口の違和感や長く治らない口内炎のような痛みでお悩みの場合は、まずは患者様の健康のためにも、一度口腔外科を受診されることをお勧めします。
扁平苔癬は重くなると日常生活にも支障が出てきます。継続した歯科検診で発症や再発にも気をつけることができます。
もし気になる人は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
粘液のう胞
粘液のう胞はつぶすべき?治療すべき?
粘膜のう胞は、舌や口唇(特に下唇)にできる半丘状の水ぶくれのようなものです。
唾液は常に口の粘膜を湿らせておく役割がありますが、粘液のう胞は口の中にある大唾液腺と小唾液腺のうち、小唾液腺がなにかの理由で傷ついたり、詰まったりすることで、唾液が正常に分泌されず、口の粘膜の下に溜まってしまうため起こります。
まだ幼い子どもの粘液のう胞についての相談
(30代・女性)
小さい子どもが、「お口の中にプツプツができた」というので見たところ、小さな水ぶくれができていたので、さっそく小児歯科へ行ったところ「粘液のう胞」だと診断されました。
本人が言うには痛みもないらしく、口内炎のようにも見えるので、自然につぶれてしまえば治るのではないかと思います。
ところが先生からは「そのままでは再発しますよ」と言われて迷っています。
ちがうクリニックへセカンドオピニオンに行った方がいいでしょうか?
お子様の場合、自然に治ることもあるので、できるだけ潰さず様子を見てから、もう一度受診してみてはいかがでしょうか。
粘液のう胞は、お口の粘膜にできる約1.5mm程度の水胞で、下口唇や頬の粘膜に多くでき、次いで舌の下にできます。
食事中に唇や頬の内側などを誤って噛んで粘膜を傷つけ、その傷が治るときに唾液を出す管が詰まってしまうことによって発症します
。また、下唇を噛む癖、口内炎、歯の先端や器具があたる、歯が欠ける、虫歯で歯に穴が開いて尖った部分が粘膜を傷つけることなども原因となります。
(当院Dr)
お子様に多くみられるもので、半丘状のぷくっとした水ぶくれができると、痛みはないものの気になってしまうために、手や舌で触ってしまったり噛んでしまうことで水ぶくれが破裂します。
破裂すると中から粘り気のある唾液が出てしぼむので、一見治ったようにも思えますが、数日後には再び唾液が溜まってしまうため、再発を繰り返します。
また、再発を繰り返すことで徐々に表面も硬くなり、やがて直径1cm位まで大きくなってしまう場合もあります。
粘液のう胞の治療方法は、手術やレーザー治療などが一般的です。
放置しても自然治癒することは稀なため、できるだけ外から刺激を与えないようにするといいでしょう。
くわしくは診察してみなければわかりませんが、お子様の場合は新陳代謝も著しく、傷の治りも早いため、できるだけ患部を刺激しないようにできれば、数か月~半年間ほどで自然に治ることもあります。
参照:みまつ渡辺歯科医院
唾石症
唾石症は治りますか?
唾石症は、唾液腺の排出管が結石で閉塞されてしまう疾患です。
主に食事中に唾液の分泌が促されることで、詰まった唾液腺内圧が増し、痛みが出てきます。30分から1時間程で痛みは引きます。
唾石症についての相談
(40代・男性)
1年前、唾石症を発症しました。左顎の下が腫れましたが、少し経つと元に戻るといった程度だったので、数回通院しましたが仕事も忙しかったので、その後はしばらく放置していました。
でも半年前から再び頻繁に腫れるようになり、病状はひどくなってしまいました。
命にかかわるような症状でもないとは思いますが、今では左側を向こうとするだけで痛みます。すぐに手術になるのでしょうか?
食事中に腫れたり、痛みが出たりと違和感がある場合は、なるべく早めに受診することをお勧めします。
唾石症ということで一度診断を受けているようですが、その後治療をしなかったことで結石が大きくなっている可能性があります。
唾液腺には、耳下腺、舌下線、顎下腺がありますが、唾石症の場合、主に顎下線に発症して腫れます。
結石が小さいうちは唾液腺から唾液が出にくくなる程度ですが、やがて結石が大きくなって唾液腺の排出管をふさぐと、唾液が出なくなる分泌障害が起こります。
(当院Dr)
また、唾液の分泌障害だけではなく、唾液腺の痛みが出る場合もあります。
放置した場合、唾液腺が流れにくくなることで細菌が唾液腺の中に侵入して、急性の唾液腺炎を引き起こすリスクも高まります。
唾液腺炎を発症すると、炎症の開口部分から膿が出てくるようになり、さらには耳下腺の場合、耳下腺炎をともなった髄膜炎や脳炎を引き起こすこともあります。
小さな結石の場合は、唾液腺のマッサージで唾液の出口方向に誘導し、結石を取り除くこともできますが、顎下腺や舌下腺の結石で排出管の出口付近にある場合は、外科手術でお口の内側から唾液腺を切開して結石を取り除きます。
もしも排出管の奥に結石がある場合は、顎の下を切開して結石を唾液腺ごと取り除く手術をおこなうこともあります。
できるだけ唾石症にならないためには、日常的にできることがいくつかあります。
一番大切なのは、食事中よく噛んで唾液の分泌を促しながら食べることです。
唾液量が十分であれば、結石が停滞せずに排出されていきます。
また、耳から顎下にかけての唾液腺をセルフマッサージするだけでも唾液の分泌が促進されます。
そして唾液の分泌を促すためにも普段から水分を多く摂ることを心がけ、口呼吸を改める等、お口の中が潤うよう意識することも大切です。
アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は放置しても治らない?
元々「口内炎」と呼ばれている症状は、お口の中の炎症の総称です。
そのうちもっとも多く発生するのが「アフタ性口内炎」と呼ばれている口内炎です。
状態によっては治療が必要なケースがあります。
何度も繰り返す口内炎についての相談
(30代・男性)
3ヵ月前から口内炎を繰り返していて、食事中や話す時に痛み、困っています。
よく昔から「口内炎にはビタミンCが効く」と聞いたので、毎日市販のビタミン剤を飲んでいますが、一向に回復する気配がありません。
自分の場合は舌にできやすく、一度できるとつい気になってしまいます。消えてもすぐにまたできるので、ここしばらくずっと口内炎の痛みとのお付き合いです。
これはただの口内炎ではないのでしょうか?
早く治したいので、いい治療方法があれば教えてほしいです。
くわしくは診察する必要がありますが、アフタ性口内炎の可能性があります。
直径1~9,10mmほどの大きさで、丸く輪郭がはっきりとしたアフタと呼ばれる病変が口唇の粘膜、歯茎、舌などに1~数個できます。
アフタ性口内炎の場合、あまり刺激を与えず、お口を清潔にしておくことで、通常は数日から2週間程度で治ります。
一方、痛みが続いて食事や歯磨きで支障が出るようになり、一度消えてもまた再発を繰り返すという「再発性アフタ性口内炎」になる場合もあります。
(当院Dr)
アフタ性口内炎の原因ははっきりしていませんが、発生する誘因としては過労、ストレス、睡眠不足、ビタミンなどの栄養状態の不足、胃腸障害に加えて、お口の不衛生な状態が続いたり、義歯が合わなかったりすることが挙げられています。
また女性の場合、ホルモンバランスの崩れやすい月経前や妊娠期にできやすくなります。
たしかにアフタ性口内炎は慌てて受診する必要はありません。
むしろ、疲労やストレスに自覚があるようであれば、まずはその環境を改善することが大切です。
睡眠時間の確保や、バランスのよい食事なども心がけてみてください。
再発を繰り返している人には、副腎皮質ステロイド軟こうの塗布が有効です。
また、診察によっては粘膜の抵抗力を高めるビタミンB群やCの内服を勧められることもありますし、抗ウイルス薬の服用など原因に応じた治療が必要な場合もあります。
また、入れ歯や義歯が合わないといった不具合ことによって、不適合部分が粘膜を傷つけてしまい、それが口内炎の引き金になってできることもあります。
その場合、入れ歯や義歯の当たっている箇所の調整がされないまま使用を続けていると、同じ場所を何度も刺激してしまい再発することがあります。
「当たっているな」と感じたら、そのままにせずできるだけお早めに受診してください。
白板症
白板症はがんの可能性がある?
白板症は、歯茎や頬の内側などの粘膜が白くなり、板のように厚みを増した状態となりますが、口内炎のように痛みがないため、自分では気づかない場合も多い疾患です。
白板症は舌がんになる可能性が5~10%あるので、放置せずにすみやかに受診することがのぞましい疾患です。
白板症についての相談
(50代・男性)
先日、虫歯の治療のためにかかりつけの歯医者さんを受診した際、担当医から「あなたの口腔内に白板症と思われる箇所があるので、口腔外科を紹介します。」と言われました。
特にそれまで自覚症状がなく、初めて自分の歯茎が白くなっていることを指摘されて知りました。
しかもインターネットでいろいろと調べたところ、将来がん化する可能性もあるということで大変驚いています。
急いで大学病院などで診てもらうべきでしょうか?
できるだけ早めに口腔外科のある歯科へ受診することをお勧めします。
白板症は、歯茎、舌、頬などの粘膜の上皮が角質化することで白く硬くなる病気です。
患部をこすったり、歯磨きで歯ブラシが当たっても痛みがありません。(こすって取れる場合はカンジダ症の可能性があります。)
40歳以降の男性に多くみられ、舌、歯茎、頬、上顎、舌の下の順番にできやすくなります。原因は特定されていませんが、タバコ、アルコール、刺激性食品、お口の状態に合っていない詰め物や入れ歯、頬や舌をよく噛む癖、カンジダ感染などが要因になっていると考えられています。
(当院Dr)
白板症は5〜10%の確率で舌がんになる可能性があるという報告もあり、特に舌の横側に白板症があったり、病変が不規則な形をしていたりすると、がんになる可能性が高いため、その先生はより専門の医師に診てもらうべきだという意味でそのように仰ったのだと思います。
白板症の治療方法は2つあります。
1つ目は外科手術による切除です。
2つ目は、現段階で問題がなければ経過観察をする方法です。
検査はブラシブラシや綿棒で白板症の表面をこすって細胞を採り、顕微鏡で検査する方法と、一部の組織を切り取り、顕微鏡で検査する方法があります。
これらの検査結果、がんのおそれがなければ経過観察になります。
ただし、白板症が広い範囲に広がっていたり、タバコなどの刺激性要因があるものをやめられなかったりする場合は、経過観察して進行を確認していく必要が出てきます。もし進行性と判断された場合は、その時点で切除になることが多いです。
白板症の原因は現在まだはっきりとはしていませんが、可能性のあるものとして前述した通りいくつかの要因が挙げられているので、予防としてそれらを控えることが大切です。
もし歯医者で白板症を指摘されたり、自分で気づいた場合は、できるだけ早めに口腔外科のある歯科へ受診することをお勧めします。
参照:兵庫県歯科医師会
舌痛症
舌がヒリヒリと痛む舌痛症は気のせいではない
舌痛症は、舌に何の異常も認められないにもかかわらず、舌の先端、脇、縁などにヒリヒリ、ピリピリ、ジンジンとした慢性的な痛みやしびれが続く状態で、「口腔内灼熱症候群」とも呼ばれています。
舌の痛みについての相談
(50代・女性)
舌がずっとヒリヒリしていて、最近味覚が変わったような気がします。
約5か月くらい前から気づくと舌がヒリヒリしています。
でも、日中何かをしている時は忘れています。最初は気のせいかと思ったのですが、一人でじっとしていると痛みが悪化します。
夜になるとだんだん痛みも強くなっていく感じがします。
食事はもちろんできますが、今までおいしかったはずのものがおいしく感じません。
これも気のせいかと最初は思っていましたが、やはり何か病気でしょうか?
舌痛症の可能性がありますので、くわしく診察する必要があります。
この病気は、お口の粘膜や舌がヒリヒリ、ピリピリ、ジンジンといった痛みが続くのが特徴で、症状には変動性があります。
朝より夕方以降、夜に悪くなり、日によっても変わります。また、人によっては舌だけでなく、口唇、口蓋粘膜、歯肉にも同様の痛みが生じる場合があります。
食事や会話にはほとんど支障はありませんが、約6割の患者様に口腔乾燥感や味覚異常を伴うとされており、口腔異常感症との合併も多く見られます。
主に女性に多い病気で、40代以降に発症する人が多くなる傾向があります。
(当院Dr)
舌痛症の原因にはいろいろあり、ホルモンの異常、炎症、神経痛のほか、メンタルの影響など挙げられていますが、まだはっきりとした原因はわかっていません。
舌痛症の約6割の患者様は、単純な痛み以外に味覚にも異常感を訴え、現在では複数の原因が併存しているのではないかと考えられています。
あなたの仰るように、最初は気のせいではと思われるのも無理はありません。
1日のうちに症状が大きく変化するため、もしかしたらご自身の精神的なものではないかと患者様自身が思うためです。
まずは受診して、原因を特定することが治療の始まりとなります。
原因にはいろいろな要素が考えられるため、治療法も一律ではありません。
入れ歯や被せ物の物理的刺激が原因の場合は、すぐに治療する必要があります。
味覚異常は亜鉛不足が原因の場合もあるので、その場合は亜鉛製剤を服用します。
さらに、生活上で悩みや不安がある場合には、抗うつ薬や精神安定剤も効果が出るため使用することもあります。
抗うつ剤は腰痛などの慢性疼痛や片頭痛にも効果が認められ、舌痛症でも症状が改善する場合があります。
舌痛症の治療期間は長期化することが多いので、多くの患者様は約1年程通院されています。焦らずに治していくことが大切です。
歯根破折
歯根破折は抜歯が必要か?
歯根破折は、歯の根っこ部分である歯根まで縦に入るひび割れのことです。
ある日突然割れてしまうことで、神経がある歯が割れる場合しみたり、噛むと痛みを感じたりします。そのまま放置するとむし歯のような神経炎症も起こります。
次に神経のない歯の場合は、破折部分から細菌が入り、歯肉が腫れたり膿んでしまうため、なるべく早めの処置が望ましい症状です。
割れてしまった歯についての相談
(20代・男性)
先日、奥歯の1本が割れてしまったのがきっかけで歯医者を受診したところ、「歯根破折」と診断されました。その際、先生から「抜歯が必須」と言われたが、必ずしも必要でしょうか?
今のところ特に痛みもなく、普通に生活できています。
そのため、てっきり補修で済むかと思っていたら、先生からはすぐに抜歯をと言われ、びっくりしてしまいました。
割れた部分をくっつけるなどして、なんとか抜歯せずに済む別の方法はないでしょうか?
抜歯が必要なのかどうかは、検査が必要です。
まずはくわしく検査をする必要がありますが、いずれにしても割れた歯をそのままにしておくのはよくありません。
破折部分を放置していると、飲食するたびに食べ物が詰まりやすくなり、そこから細菌が入って炎症し、お口の状態が悪化する可能性が高くなります。
また放置期間が長くなることで、歯を支える歯槽骨が失われ、噛み合わせで違和感が出たり、歯肉が腫れて膿が出るなど本格的に痛み出したりすることもあります。
(当院Dr)
歯根破折した歯に関しては、基本的には抜歯が行われるため、その先生の診断は珍しいものではありません。しかし、状況次第によっては治療保存できる場合もあるので、ちがう歯医者でセカンドオピニオンをとるのも方法でしょう。
人生100年時代
将来にわたってなるべく自分の歯を残したいと思う人は増えています。
歯根破折を防ぐためには、以下のことに気をつけて生活をすることをお勧めします。
1.
むし歯治療などでできるだけ歯を削る治療を受けずに済むように、日頃から歯の定期検診で歯の状態を把握し、むし歯予防を徹底する。
2.
必要以上に歯の神経を取らないようにするため、歯の不具合は放置しないようにする。
3.
治療を何度もやり直さないで済むように、精度が高く信頼できる歯科を選ぶ。
他の疾患にも共通して言えることですが、歯根破折を起こさないためには日々のむし歯予防やメンテナンスが重要です。
正しい歯磨きに加えて、デンタルクロスなどのグッズも使い、歯と歯の間に汚れを残さないことが大切です。
また、自分のブラッシングに自信がない場合は、当院にもあるブラッシング指導や歯科検診を定期的に受け、お口の健康状態を常にチェックしておくといいでしょう。
それでも残念ながら歯根が破折してしまった場合は、前述したように抜歯か歯根破折保存治療の選択となります。
今は痛くなくても、痛みが出る前に処置をしましょう。